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2008年8月28日 (木)

山本理顯氏のまち壊し

 今日の日本経済新聞地域面に山本理顯氏のインタビュー記事が掲載されました。まさに驚愕の記事です。彼は、それなりに実績を重ねた「建築家」です。建築家が「社会的職能」であると標榜されるなら、自らの設計行動、その理念をきちんと、市民に説明すべきです。「設計費に1億6千万円も使うなど高い費用をかけて、委員会は長い時間をかけて議論して来た。」と語られていますが、どんな委員会で議論して来たのでしょうか。だれが1億6千万円を得たのでしょうか。誰が山本理顯氏を設計者に選択したのですか。その設計者選定の過程が市民に公開されましたか。藤森照信設計者選定委員長は、その選定についての説明要求に応えて下さいませんでした。すべて、数名の「専門家」によって選定が進められ、市民はまったくその経緯を伺い知ることは出来ませんでした。小田原市助役(当時)や企画部長など、市の職員からさえきちんとした説明もなされませんでした。
 HPシェルと言う構法選択の必然性も、未だかつて説明がなされていません。「耐震強度に優れている」などと意味のない虚言のみでした。彼はこう言っております「小田原市が事前にまとめていた基本構想では、シューボックス型の多目的ホールが想定されていました.———でもぼくは、シューボックス型の閉ざされたホールでは、多目的な使い方に限界があって、面白いことは出来ないんじゃないかと思いました。」「例えばプロレスやサーカス、フリーマーケット等々、普通の劇場ではできないような催しができるようなホール。」こんなものを造りたいと考えられたのです。小田原市によって市民に説明された「基本構想」を否定することから「エスキース」されたのです。これが、藤森照信氏の目にとまり「一等になった山本理顯案は、完全に、個人的で記念碑的な案です。」と言わしめたのです。(引用はGA Japan79から)
 今回のインタビュー記事では「シンボルがあることで地域が活性化する」といわれています。しかし「応募要綱」では、「設計にあたっては、お堀や緑を色濃く残している小田原城址公園に面した立地環境であることに配慮しーーー」とされています。お城に対比したシンボルを求めてはいません。
 この不幸なすれ違いは、この用地が未整備のまま見切り発車してしまった暴挙にあると考えます。山本氏でなくても、このわずか5,900平米、実質的なホール用地は4,800平米ほどと言う変形敷地に、立地環境に配慮した設計などできるはずもありません。誰がやっても、前面空地に欠けたバルキーな巨大ビルディングにせざるを得ない敷地条件です。小田原の未来にとって、これからのまちづくりにとって、この三の丸地区は、かけがえのない最重要景観地域です。美しい小田原の核になるべき地域です。エスキースコンペという拙速な手法で、建築家の記念碑になどされてはなりません。
 いま、この用地は、市道の改変で奇妙な形で静かに眠っています。荒れ地に雑草が茂っていますが、このオープンスペースが与えるものを、しっかり見ておいてください。この地区に、何らかの建築物を造るときには、お堀に面したオープンスペースは不可欠のものとして計画すべきです。それが「公共」の責務であると考えます。
 山本理顯さん、ぜひ一度市民に自らの建築理念を語って下さい。藤森照信さん、山本理顯案がどのように優れた設計なのか語って下さい。これまで、この施策に関わって来られた市の職員のみなさん、なぜこのホールがこう言う不幸な形で市民の前に放り出されたのか語って下さい。
 行政に携わっていられる方々、今後このような不幸を生み出してはなりません。建築設計を業となさっていられる方々、自らの業の社会的責任を自覚して下さい。今後とも、ここにオープンスペースを欠いた巨大建築物のホールをつくるような三の丸地区破壊を許すことはできません。

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コメント

「[暮らし]城下町ホール建設予定地」(http://d.hatena.ne.jp/newmoonakiko/?of=35)というタイトルのある方のブログのページで、予定地利用方法に関する松本 (smat) さんのコメントを以前に拝見しました。前後関係がわかるように他の方のコメントを含めて引用させていただきます。

ホタル 2008/07/24 11:58 お城の形をした堆肥センターはどうでしょうか?
newmoon 2008/07/24 20:57 グットアイディア!街のど真ん中にある堆肥センターなんて、きっと全国から視察がドンとくるよ。
smat 2008/07/25 06:50 ここはお花畑です。みなさんどんどん植えて行って下さい。
newmoon 2008/07/26 00:50 えっ、植えにいっちゃうの?

お花畑にするのが、松本さんの言われる「小田原の未来にとって、これからのまちづくりにとって、この三の丸地区は、かけがえのない最重要景観地域です。美しい小田原の核になるべき地域です。」の活用方法なのでしょうか。

それとも、不可欠なオープンスペースのある、「まち壊し」でなく、三の丸地区破壊ではない利用法についての実現性のある代案をお持ちなのでしょうか。必要とされる用地整備の財源手当などを含め、具体性のあるご説明をお願いできますでしょうか。

投稿: 市民M | 2008年8月28日 (木) 12時54分

市民Mさま コメントありがとうございます。
 お尋ねの前段は、他所さまの記事についてのことですが、臨時的利用についての話題です。未利用公有地は、いろいろな理由によって、長期にわたって放置されることがままあります。この公有地もすでに1年以上放置されています。費用を掛けない一時的使用の一案として話題を提供したものです。「最重要景観地域」に荒廃地があることは、避けるべきと思います。
 後段の「実現性のある代案をお持ちなのでしょうか。必要とされる用地整備の財源手当」についてですが、市民の一人として考えていることを、手短かに記します。最大の問題は、用地整備です。財源を含めこれは大きな問題で、長期にわたる市政府の努力が必要になります。現状の5,800平米の変形用地を利用するのであれば、城址公園を補完するような施設、文化財、美術品などの展示施設、市民ギャラリーなどを、中小規模でクラスター状に展開する、国の施設の移転や用地整備の進展に合わせて段階的に施設整備する、このことは以前から申し上げております。
 財源については、公的整備、あるいはPPP等の民活手法など、それぞれの整備事業によって判断すべきと考えます。このことについては、Mさまのご意見もお聞きしたく存じます。お待ちしております。

投稿: 松本 茂 | 2008年8月28日 (木) 14時40分

わたしは絵を描きます。ものづくりを目指す一人として、かなり奇妙なものであったとしても、その作者の意図を尊重したいと思っています。
そこで、山本氏に直接、小田原という町のお城の前に、なぜ、曲面を多用した。建物を作りたかったのか。その意図を、是非聞かせて欲しいと、お願いした。

所が設計家として、明確な回答を持ち合わせていなかった。これだって、四角なのだとか、訳のわからない、いい訳めいた事ばかり、つべこべ繰り返しただけだった。
彼が作家であるなら、どうしてもこうでなければならない、意図があるはずだ。それを市民を前にして、口にしないのは、説明責任を全く果していない。

今でも、あれが小田原に相応しいと何故思ったのか。聞いてみたいものだと思う。小田原をどんな町だと考えたのだろうか。小田原の良さを少しも把握できないまま、アイデアだけで、考えてしまったんじゃないか。もしかして、小田原の未来を見ていると言うなら、そのことを一言でも発言すべきでした。

しかし、コンペで選んでおいて、何を今更、と言いたいだろう。なら、コンペであれを選んだ人に、何故あれが小田原に相応しいと考えたのか。その辺の本音を聞きたい。

投稿: 笹鶏 | 2008年8月29日 (金) 18時02分

 笹鶏さん 私も創造者としての「建築家」の仕事を尊重したいと考えます。しかし、今回の「城下町ホール事件」は、エスキースコンペがどんなものか理解に乏しいまま実施してしまった市政府、このコンペの設計条件の設定とコンペ参加者たちの意図のすれちがい、深く考えないままの目立つだけの「アイデア」設計案(山本理顕氏)、それを選択した選定委員会、選択の論理を説明しない委員長(藤森照信氏)、情報の公開を拒み続けた市政府(小澤良明氏)、これらの不当な行為の蓄積が、「城下町ホール事件」の不幸を生んだのだと思います。これらの方々に、しっかりした弁明をしていただかない限り、「城下町ホール事件」は終りません。

投稿: 松本 茂 | 2008年8月30日 (土) 07時59分

やはり、というか物事の道理に従って、ないものはない、出来ないものは出来ないという事でしょうねぇ

端から無理があったんですよ
資金的な見通しもなく、ただそのほうが望ましいからというだけでは’まち’は作れません

http://www.nikkei.co.jp/news/retto/20080829c3b2904e29.html
 神奈川県小田原市の加藤憲一市長は29日の記者会見で、老朽化した市民会館の代替え施設、城下町ホール(仮称)の建設予定地を変更すると発表した。駅東口のお城通り地区に建てる従来の方針は費用も時間もかかるために転換を余儀なくされ、結局は前市長の方針だった小田原城前に建設することにした。加藤市長は5月の市長選で駅東口での建設を公約に掲げて当選したが、公約を撤回した格好だ。


駅前ホールを信じて投票した4万を越える小田原市民の「民意」はなんだったんだろう・・・

投稿: 小田原市民 | 2008年8月30日 (土) 10時34分

 小田原市民さん 30日のブログ記事をご一読いただければ幸いです。良いまちを作って行くための行動にご参加いただきたく存じます。

投稿: 松本 茂 | 2008年8月30日 (土) 12時12分

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