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2012年1月12日 (木)

“ヒルトン小田原”の売却を考える(1)

120112hilton 昨年末、表題の事案に関わる小田原市所有の公文書を公開していただいた。先に市議会の資料請求で開示されたものなどを含め、つぎの資料を得た。その文書内容と評価を、逐次記事にしていきたい。
1990~1992「リフレッシュセンター周辺整備費用」(小田原市)
2003 .8.26.「運営事業に関する協定書」(小田原市/ヒルトンインターナショナル)
2003.11.25.「不動産賃貸借契約書」(小田原市/小田原ヒルトン/ヒルトンインターナショナル)
2010.11. 「施設診断業務実施報告書」(鹿島建物総合管理)
2010.11. 「5カ年計画工事見積書」(鹿島建物総合管理)
2011. 3. 「5カ年計画浄化槽改修工事見積書」(関東ネオ)
2011. 4 .6.「賃料減免のお願い」(小田原ヒルトン) 
2011. 4.28.「合意書」(小田原市/小田原ヒルトン)
2011. 8.22.「(賃料減免の妥当性)意見書」(大和不動産鑑定)
2011. 9. 9.「主な交渉当事者一覧」(小田原市/小田原ヒルトン/ヒルトンワールドワイド)
2011.12. 9.「施設台帳・土地台帳」(小田原市)
2011.11.14.「(鑑定評価の妥当性)意見書」(大和不動産鑑定)
2011.10. 4.「貸借人交渉記録 第1回〜第15回」(小田原市/小田原ヒルトン)
2011.10.28.「不動産鑑定評価書」(日本不動産研究所)
2011.11.16.「(2004~2011)施設工事関連費用一覧」(小田原市)
 これらの資料中、まず「不動産鑑定評価書」について評価したい。2011年7月3日の見積書(150万円)により「一般社団法人日本不動産研究所」に業務委託され、さらに10月17日の追加見積書(90万円)をへて、10月28日付けの鑑定書(73頁)が提出されたと思われる。追加は、東電の高圧送電線路の負担金評価事務が加わったためと説明を受けた。
 鑑定評価は、世界的な経済混乱、日本経済の低迷、大被災によるホテル業界の不況、ホテル不動産市場の価格下落などを強調して、鑑定の前提としている。鑑定は原価法と収益還元法の2手法で行っている。
 まず原価法。土地(231,465㎡)は取引事例の8,400~9,760円/㎡(総面積を試算すると2,260百万円)を示すが、種々の減価修正率を乗して、宅地部分が534百万円、林地部分が78百万円、都合613百万円と算定。建物(51,709㎡)は、再調達原価を17,732百万円と算定した上で、それらを15~35%に修正減価して5,150百万円を積算価格とした。構築物、温泉施設等も10~25%に減価して、4.6百万円。これらの積算価格の総計を5,803.6百万円としながら、なんと「市場性修正率」17%として、987百万円を原価法による積算価格としている。
 「市場性修正率」17%の根拠は、リゾートホテルは市場性が劣る、立地条件が劣る、客室数が少ない、陳腐化が目立つ、大震災で収益性低下などとしただけで、17%という数値根拠は全く示していない。
 収益還元法については、事業収支試算はもとより、査定根拠とする算定率の数値も黒塗りで、判断のしようがない。結論は、直接還元法で902百万円、DCF法で、879百万円の算定を関連づけて、891百万円を収益価格とした。
 原価法積算価格987百万円、収益還元法収益価格891百万円だが、収益価格がより説得性を有するとして900百万円を鑑定評価額としている。かなり丁寧に読んだつもりだが、どう考えても初めに鑑定価格9億円ありきのような、違和感が拭えない。鑑定人である日本不動産研究所は、第三者への売却価格は-5%程度が妥当であるという意見書を出しているが、はたして課税段階でこの意見書、鑑定書が有効に働くのだろうか。所管課は、課税当局に意見を確認したと説明しているが、小田原市は課税対象にならないかもしれないが、ヒルトン側はかなりの大きなリスクを負うことになるのではないだろうか。
 さらに、ご丁寧にこの鑑定評価をセカンドオピニオンとして、大和不動産鑑定による「鑑定評価の妥当性意見書(11月24日)」がつくられ、前述の修正率17%も「おおむね妥当」としているが、その理由は鑑定人が記述した理由を踏襲しているだけである。これがセカンドオピニオンと言えるのだろうか。この鑑定人は、既に8月22日に「(賃料減免の妥当性)意見書」で、ホテル業界では「3カ月程度の賃料を減免するという声も聞かれている」と言うことで、減免は妥当というシンプルな意見書を出しているが、減免事例を列挙している訳ではない。なんとも不可思議な意見書である。
 ヒルトンサイドで「法律上、会計上の問題が発覚」したので、合意破棄となって、議会が一波乱してから既に7週間は経過したが、ヒルトン側からはなんらの意向表明はないようである。
(鑑定書等、関係諸資料を閲覧されたい向きには、喜んで対応させていただきます。お申し越しください)

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