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2012年4月 7日 (土)

「安全」は「政治」が判断???

120407ooi_gennpatsu 大飯原発原子炉の模式図です。「原子炉格納容器・原子炉格納容器は、現実に起こりそうもないような事故を想定して、大きな圧力に耐えるだけの強度および耐震性を考えて設計されています」「プレストレストコンクリート製方式(3・4号機)・格納容器のコンクリート壁内部にPC綱より線(テンドン)を入れて、あらかじめ格納容器全体を締め付けておき、事故時に発生する大きな圧力に耐える方式です」と説明されていました。PCコンクリートをこれほど高く評価されているのにびっくりします。
 民主党政権は、5月5日までにしゃにむに大飯原発の再稼働を強行するつもりのようです。野田首相は消費税並みに「命をかけて」おやりになるのでしょうか。ばたばたと「再稼働新基準」をお作りになりました。この民主党政権の変身ぶりこそ「現実に起こりそうもないような事故」ですね。
 このような逼迫した情勢の中で、我が日本の「新聞」ジャーナリズムがどのように反応しているのか、拾いだしてみました。かなり長文になりますが。拾い読みしてみてください。
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産經新聞
原発安全基準 迷走を反省し再稼働急げ
(4月7日)
 野田佳彦首相と枝野幸男経済産業相ら3閣僚は6日、関西電力大飯原子力発電所3、4号機(福井県おおい町)の再稼働に必要な安全基準を正式に決定した。
 この基準に照らし、大飯原発の両機が妥当と判断されると、枝野氏が福井県を訪れて再稼働を要請する運びとなる。
 安全基準は、福島第1原発の事故後から、同県やおおい町が国に対して求めていた判断材料だ。福島事故で得た教訓をもとに、経産省原子力安全・保安院が今年2月以来まとめてきた30項目の安全対策などで構成されている。
 そのかなりの部分は、関電をはじめ、各電力会社で実施済みの内容だ。事故直後に経産省が各電力会社に求めた緊急安全対策やストレステスト(耐性検査)によって改善、確認がなされている。
 枝野氏らは、安全基準の論拠や内容だけでなく、取りまとめの経過も丁寧に説明していくことが必要だ。その努力を怠ると誤解が生じる。野田首相による作成指示から、わずか3日後に基準が正式決定されたことに伴う「拙速感」も誤解の一例だ。
 保安院は、約2カ月前から30項目の安全対策を中間報告の形で福井県に示している。だから泥縄ではないのだが、その情報がなければ、誰もが拙速の代物と受け止めてしまうことだろう。
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読売新聞
原発新安全基準 丁寧な説明で早期に再稼働を
(4月5日)
 福井県にある関西電力大飯原子力発電所3、4号機の再稼働に向けた関係閣僚会合で、野田首相は原発の新たな安全基準の策定を指示した。
 福井県知事らが、東京電力福島第一原発の事故を踏まえた安全基準なしでは再稼働に同意できない、としているためだ。
 再稼働には、安全性に対する地元の理解が欠かせない。政府は安全基準の策定を急ぎ、速やかに地元の説得を開始すべきである。
 民主党政権は、ストレステスト(耐性検査)の導入や原子力安全委員会の審査など、法律に基づかない手続きを次々に追加し、再稼働の実現を先延ばししてきた。
 場当たり的な対応の結果、全原発54基で運転中は1基に減り、これも5月初旬に停止する。
 このまま夏を迎えれば、深刻な電力不足に陥り、足踏みが続く日本経済に大打撃を与えよう。
 首相や関係閣僚は時間を空費せず、大飯原発の再稼働を、早期に決断する必要がある。
 新たな基準は、経済産業省の原子力安全・保安院がすでに策定した30項目の安全対策を整理し、肉付けした内容になるという。
 巨大な地震や津波が起きた場合でも、全電源喪失などを回避し、福島原発のような過酷事故を防ぐための対策を、わかりやすく示すことが求められる。
 地元の了承を得るには、政府が原発の安全確認に責任を持たなければならない。関係閣僚と地元自治体の間で、信頼関係を構築することも不可欠だ。
 その点で、枝野経産相の不用意な発言が、関係自治体の不信感を増幅させたのは問題だ。
 枝野氏は2日の参院予算委員会で、大飯原発に関し「現時点で私も再稼働反対だ」と答弁した。
 原発の「地元」の範囲について「あえて聞かれれば日本全国」と語り、福井県に隣接する京都府と滋賀県の知事の理解も得る必要があるとの考えも示した。
 自ら安易に再稼働へのハードルを上げるような発言を連発したのは軽率すぎる。電力安定供給に責任を負う閣僚として自覚を欠いているのではないか。
 大飯原発の地元や周辺自治体の誤解や混乱を招いた。厳しく批判されたのもうなずける。
 枝野氏は発言内容を一部修正したが、真意は必ずしも明確でない。このままでは、原発の立地する県や市町村の首長が、再稼働の受け入れをためらいかねない。
 前言を撤回し、丁寧に説明することが必要である。
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日本経済新聞
責任持って再稼働を判断し地元に説明を
(4月7日)
 野田佳彦首相と枝野幸男経済産業相ら3閣僚は、ストレステスト(耐性調査)第1次評価を踏まえたうえで原子力発電所を再稼働させる判断基準を決めた。
 政府は自らが示した判断基準に従い、関西電力・大飯原子力発電所3、4号機について毅然とした判断を下し福井県など地元自治体の理解を求めるべきだ。
 判断基準そのものは妥当だ。まず電源車の配備など緊急の安全対策が間違いなく実施され、東京電力・福島第1原発を襲ったものと同程度の地震や津波に耐えうる備えがあることを再確認する。
 さらに防波壁のかさ上げなど完成まで時間がかかる対策については電力会社に実行を確約させ、工程表の提出も求めるという。百パーセントの安全を保証はできないが、打てる手だてを尽くした。
 問題はこの間の政府の対応ぶりだ。この程度の判断基準ならとうの昔に国民に示せた。決断を迫られる土壇場になって、急きょ基準づくりを指示するなど、対応が場当たり的だとの批判は免れまい。ストレステストによる再稼働の判断手続きが始まって半年以上たつ。関係閣僚はただテストの結果を待っていただけなのか。
 閣内不一致ともとれる発言や説明のぶれも目に余る。再稼働にあたって理解を求める地元の範囲について藤村修・官房長官と枝野経産相の説明は矛盾する印象を与えた。また経産相は国会質疑で「再稼働に反対」と明言しながら後で修正した。
 その場しのぎで一貫性を欠く言葉が国民の不信や不安を生む。こんな調子では政府の原子力政策への不信感をぬぐうのは容易ではないだろう。国民生活や産業活動を支えるエネルギー政策を預かる経産相らは自らの責任を痛感すべきだ。
 政府が責任をもって遂行しなくてはならないのは大飯原発の再稼働だけではない。
 原子力規制庁を早く発足させ、福島第1原発事故の教訓を踏まえた新しい安全基準をきちんと整え、電力会社に徹底させなければならない。大飯3、4号機を含む全原発を対象にしたストレステスト2次評価も早く実施、国民の理解が得られるよう、より総合的で長期的な視点から安全性を再点検するのが望ましい。
 規制庁の設置法案の国会審議の遅れについては野党にも重い責任がある。
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朝日新聞
原発の再稼働―基準作りで解決しない
(4月7日)
 原発の再稼働をめぐる新たな基準を政府が決めた。だが基準を作ったからといって、国民の納得からはまだ遠い。
 新基準は、福島第一原発を襲ったような地震と津波でも炉心溶融をおこさない電源や注水対策が必要としている。これはおもな項目を示したもので、すでに実施した緊急対策でおおむね足りるとみられている。
 防潮堤のかさ上げや、原子炉の圧力を外に逃がすとき放射性物質を除去するフィルターなど何年もの工事になるものは、今後の工程表を求めた。工事の完了は条件になっていない。
 枝野経済産業相は、電力会社からの説明を厳格に審査すると話している。その言葉を守り、これまで政府が示してきた再稼働への前のめりな姿勢は改めるべきだ。
 福島第一原発は原子炉3基が炉心溶融し、1基の燃料プールが危機にある。事故の検証はまだ道半ばだが、この1年で得た教訓を可能な限り、取り入れるべきだ。
 原発事故の現場で作業員を守り、最悪の原子炉爆発を避ける操作ができたのは、頑丈な免震重要棟があったからだ。関西電力が再稼働を望む大飯原発などにその建物はない。再稼働して過酷事故が起きた場合、免震棟なしで十分に対応できるのだろうか。
 原発から30キロ圏まで拡大される防災重点区域について、住民を守り、避難させる計画もこれからだ。
 いま必要なのは、言葉やわかりにくい制度ではなく、実質的な安全性を向上させる対策だ。
 原発に100%の安全はないことを、私たちは知った。その意味で、安全対策はどこまでやっても、暫定でしかない。
 だから、とりかえしのつかない災害をおこしかねない原発はできるだけ減らす。それが、政権の約束だったはずだ。
 そのうえで、最小限の原発を動かすことに国民が納得するとすれば、深刻な電力不足や燃料費の高騰で、日常の生活や経済活動に無視できない被害がおよぶ場合に限られる。
 枝野経産相も「電力が足りていれば再稼働しなくてもいい」との考えを示した。
 今後、あらためてこの夏の電力需給の見通しを出し、第三者も交えて精査するという。その結果を待ってから慎重に判断するべきである。
 原発の立地する状況や古さは炉ごとに違う。基準ができたからといって、電力会社は数十基の原発を次々に再稼働できると考えてはならない。
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毎日新聞
原発安全基準 つじつま合わせはだめ
(4月5日)
 関西電力大飯原発3、4号機の再稼働を協議する関係閣僚会議の初会合で、野田佳彦首相は再稼働の是非を判断するための「暫定安全基準6件」整備を指示した。経済産業省原子力安全・保安院が週内に基準をとりまとめ、閣僚会議が妥当性を議論する。暫定基準は大飯原発が立地する福井県が国に提示を求めていたもので、地元への一定の配慮を示した形だが、原発稼働ゼロを回避するためのつじつま合わせに終われば、国民の一層の不信を招くことになる。
 提示までの時間が限られる中、暫定基準は、保安院が3月にまとめた30項目の安全規制策がベースとなる可能性が高い。津波で全電源喪失に陥った東京電力福島第1原発事故を踏まえ、所内の電気設備の浸水対策の強化、原子炉や使用済み核燃料プールへの代替注水機能の強化などが盛り込まれている。防潮堤設置や指揮所となる免震施設の整備など時間のかかる対策も含むが、暫定基準でどこまで踏みこむかは不透明だ。
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神奈川新聞
原発再稼働 見切り発車は許されぬ
(4月5日)
 関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働をめぐる野田佳彦首相と枝野幸男経済産業相ら関係3閣僚の協議が始まった。
 まず再稼働ありきではなく、安全対策などを徹底的に検証してほしい。安全性が確認された場合でも、周辺自治体に対する丁寧な説明と理解を得る努力が不可欠である。見切り発車は許されない。
 世論や周辺自治体の反発を受け、首相は再稼働に前のめりにも見えた姿勢から一転、慎重な対応に変わった。政権の求心力が消費税増税で揺らぐ中、なし崩し的に手続きを進めた場合、さらに批判が高まると判断したようだ。
 国内で唯一稼働中の北海道電力泊原発3号機(北海道泊村)も5月5日、定期検査で停止する。しかし、稼働ゼロ回避を他の原発を再稼働させる免罪符としてはならない。
 東京電力福島第1原発事故がもたらした惨状を忘れたわけではなかろう。影響を被った国民の不安、不信の念は簡単に拭えない。まして地元住民の忌避感情が強いのは当然だ。時間をかけて調整を進めてもらいたい。
 初協議で首相は、福島第1原発事故の教訓を踏まえた暫定的な安全基準をつくるよう指示した。
 当初、政府は安全評価(ストレステスト)の1次評価を基に安全性を判断する考えだった。だが、原発の弱点を把握し、改善するための評価手法を再稼働の条件とすることには異論を唱える専門家もあった。
 それだけに、福井県やおおい町の要請を受け入れ、新たな安全基準を作成することにした判断は是としたい。原子力規制庁の発足が遅れ、原子力安全・保安院が基準づくりに携わることに批判があるのも事実だ。しかし、重要なのは判断材料として適正であり、地元や周辺自治体にとっても分かりやすい内容にすることだろう。
 首相は協議の冒頭で「国民の視点から再稼働に必要な安全性が確保されているかどうか。しっかり判断する」と述べた。その言葉通り、国民の視点からの政治判断を望みたい。
 福島第1原発事故の検証が済んでいない中で行う安全性の判断は説得力を持ち得るか。大飯原発の地元とはどの領域を指すのか。地元の理解、同意の意味とは何か―。疑問点は多い。政府には明確な説明責任を果たす姿勢が求められている。
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北海道新聞
原発安全基準 露骨な「再稼働ありき」
(4月7日)
 野田佳彦首相は、定期検査で停止した原発の再稼働の可否を判断する新たな安全基準を決めた。
 関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働に向け、首相が「暫定的」な基準づくりを指示してから出来上がるまで、わずか2日間である。
 その中身も、福島第1原発の事故直後に電力各社が緊急安全対策として実施済みの項目が並び、免震棟の建設など時間のかかる対策は今後の課題とされた。
 これでは、用意された答案に沿って試験問題を作成したようなものだ。「再稼働ありき」の意図が露骨と言わざるを得ない。
 基準からは、いつの間にか「暫定的」という言葉が外された。大飯以外の原発の再稼働の判断にも適用されることになる。
 しかも基準をまとめたのは、死に体の経済産業省原子力安全・保安院だ。4月から安全対策を担うはずだった原子力規制庁は、与野党の対立で発足のめどすら立たない。
 このままでは、不十分な暫定的基準がなし崩しに正式な基準になってしまう恐れがある。
 「地元」の同意もないがしろにされようとしている。
 藤村修官房長官は、地元の同意は法律で義務づけられていないため、再稼働の前提条件にならないとの認識を示した。法的にはそうだろう。
 しかし、政府はこれまで同意が前提と繰り返し表明しており、これを翻したことになる。
 大飯原発の再稼働をめぐっては、隣接する滋賀県や京都府などが反発している。
 原発事故の被害は広域に及ぶ。だからこそ政府は、原発の防災重点区域を10キロ圏から30キロ圏に拡大する方針を決めたはずだ。枝野幸男経産相も日本全国が地元と述べた。
 原発の運営には立地地域との信頼関係が欠かせない。
 福島の事故の教訓から「地元」の範囲を広げる議論をすべき時に、再稼働強行の姿勢をちらつかせるとしたら、誠意を疑われる。
 安全の新基準は本来、福島の事故原因の徹底解明の後、新たな規制体制の下で策定されるのが筋だ。
 事故の検証の途中で、原子力規制庁の発足も見通せない現状では、時間がかかるだろう。政府が今夏の電力需給を懸念するのも分かる。
 だが、電力不足を問題にするなら、電力各社が信頼できる需給見通しを公表するのが先決だ。
 廃止が決まった保安院が即席で作った基準がまかり通るようでは、福島の事故の前と変わらない。拙速な手続きで再稼働を進めても、国民の理解を得られるはずがない。
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東京新聞
大飯再稼働 即席で国民を守れるか
(4月7日)
 大飯原発3、4号機(福井県おおい町)再稼働条件の新安全基準は、わずか二日で作った「即席」だ。暫定とはいえ福島原発事故後の緊急対策の域を出ない。国民の安全を守れるとは到底思えない。
 福島第一原発事故拡大の原因者ともいえる経済産業省原子力安全・保安院が、いくらたたき台があるといっても、たった二日で作ってしまう。それを見て「安心しろ」という方に無理がある。
 これが野田佳彦首相のいう「納得いくまで徹底的に議論した結果」とすれば、首相と三閣僚は政治家としての資質さえ、疑われても仕方がない。国民の安全最優先が、政治家の務めである。それを軽視するにもほどがある。
 なぜ、こうまでして再稼働を急ぐのか。
 五月五日に北海道電力泊原発3号機が定期検査に入り、国内五十四基の原発が初めて全停止する。「原発なき社会」の実現を、よほど避けたい、その可能性を見せたくないとしか思えない。
 もし、これほど急を要する事態が起きているのなら、その理由をまず国民に、わかりやすく説明するのが先だ。
 枝野幸男経産相は「(大飯以外は)電力需給も再稼働の判断材料にする」という。なぜ大飯は例外なのか。
 新基準といっても、ほとんど通り一遍の電源確保と緊急冷却対策程度である。大けがにばんそうこうをはり付けたぐらいの応急措置で、再稼働の実績づくりをひたすら急ぐ。
 費用と時間のかかる大規模な対策は、何かと理由を付けて先送りした。事故対応の拠点になる免震施設の完成は四年先。これがなければ福島原発事故の被害はさらに拡大したといわれる重要な施設である。原子力安全委も、必要性を強く訴えていたではないか。
 爆発を避けるため原子炉格納容器の圧力を下げる排気(ベント)時のフィルター設置も、除外してしまった。防潮堤のかさ上げが不十分、非常時のアクセス道路に問題があるという重大な指摘も考慮されていない。断層の連動による地震規模の引き上げが進む。敦賀半島が四年先まで大地震に襲われないという保証はない。
 繰り返す。少なくとも国会事故調の提言が出て独立の規制機関が動きだすまでは、原発の再稼働を判断するべきではない。さもないと、政治に対する国民の信頼は本当に地に落ちる。
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しんぶん赤旗
原発「安全」基準/再稼働ありきでは信用されぬ
(4月7日)
 政府は、野田佳彦首相と経済産業相、原発事故担当相、官房長官の4大臣会合を開き、定期点検などで停止中の原発の再稼働の前提となる「安全」基準を決定しました。原発の「ストレステスト(耐性試験)」だけで再稼働を強行しようとして住民や地元自治体に反発されたためですが、決定された基準には新しい安全対策と呼べるものは何もありません。まず「再稼働ありき」では国民に信用されないのは当然で、政府は住民や自治体に再稼働を押し付ける態度を改めるとともに、原発からの撤退をこそ政治決断すべきです。
再稼働押し付ける口実に
 政府は新しい基準にもとづき関西電力大飯原発3、4号機について再稼働を近く正式に決定し、関係自治体の同意を求めるとしています。まさに基準を口実に再稼働を押し付ける態度そのものです。しかも政府はこの基準をこれから再稼働が問題になる原発にも適用する方針です。文字通り「再稼働ありき」の態度は明白です。
 政府が決定した基準は、まず地震や津波で電源がすべて失われても原子炉の冷却ができなくなったりしないよう、電源設備や冷却・注水設備などの対策を求めていますが、その中身は政府が昨年の東京電力福島原発の事故直後、各電力会社に指示した「緊急安全対策」そのものです。実態は非常電源車や消防車などを配備しただけで、小手先の対策です。福島原発事故のような地震や津波が起きても冷却を続け燃料損傷が起きないかどうか確認するというのも、結局は「ストレステスト」の1次評価が実施済みかどうか確認するだけです。なんら新しい対策と呼べるものはありません。
 「ストレステスト」の結果、原子力安全・保安院から改善が求められた項目や、保安院が福島原発事故の検討から示した30項目の安全対策についての基準も、電力会社が計画を提出すればいいだけです。再稼働の前に安全対策を強化しようというものではありません。保安院が示した30項目の対策自体、原発の「安全神話」をふりまき、推進してきた保安院が勝手に持ち出したもので、なんら信頼できる対策と呼べないものです。
 たとえば保安院は、福島原発は地震による原子炉本体や重要な配管の破壊は確認できないとの立場のため、その対策は含まれていません。保安院自体その不十分さを認め、「今後さらに分析を加え内容の充実を図っていく必要がある」としています。そうした対策を金科玉条にし、それさえ、やりやすいものはやるがあとは計画を提出するだけというのでは、安全強化などと呼べないのは明らかです。
「原子力ムラ」に丸投げ
 重大なのは、野田首相らが基準の検討にあたり、口先では「納得がいくまで議論したい」などといいながら、実際には保安院に丸投げし、わずか3日で決めてしまったことです。保安院は電力会社と一体で原発を推進してきた「原子力ムラ」の一員で、本来3月末で廃止されていたはずの機関です。こうした決定過程自体、国民の不安を顧みず、再稼働を推進していることは明らかです。
 政府の基準決定に対しても住民や自治体は不安と不信を募らせています。政府は再稼働を押し付けるのではなく、そうした国民の声にこそ耳を傾けるべきです。
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政党機関紙、プレス民主自由民主公明新聞などの論説にはアクセスできなかった。
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東京新聞(4月6日)のニュースです。
脱原発 首長スクラム
120407tokyoshinbun 東京電力福島第一原発事故を受け、脱原発を宣言する自治体の首長ら十五人の呼び掛けで「脱原発をめざす首長会議(仮称)」が設立されることが分かった。全国自治体の首長に参加を呼び掛け、設立総会を二十八日に東京都内で開く。脱原発を掲げる城南信用金庫の本店(品川区)が会場になる。
 新たな原発は造らせず、早期に原発ゼロ社会を実現するのが目的。今年一月、横浜市で開かれた「脱原発世界会議」に出席した静岡県湖西市の三上元市長(現職)と東京都国立市の上原公子元市長が「継続的な首長のネットワークを」と意気投合し、設立準備を進めてきた。
 日本原子力発電東海第二原発のある茨城県東海村の村上達也村長、福島原発に近い福島県南相馬市の桜井勝延市長らが賛同し、呼び掛け人に加わった。うち十一人が現職の首長。さらに福島県の佐藤栄佐久前知事、自民党の河野太郎衆院議員、民主党の篠原孝衆院議員、社民党の福島瑞穂党首らが顧問に就任する。
 設立趣意書では、事故で「原発の安全神話は完全に崩壊した」と断じ、「住民の犠牲の上に経済が優先されていいわけがない」と主張。その上で「黙することなく原発に依存しない社会を目指し、再生可能なエネルギーを地域政策として実現させなければならない」と訴えている。
 年二回、情報交換会や勉強会を開き、原発ゼロに向けたプログラムや再生可能エネルギーを導入する具体的施策を練る。先月末、全国約千七百の市区町村長に参加を呼び掛ける案内状を郵送した。
 三上市長は「脱原発に向け、一年前から首長の会をつくらなければと思い続けてきた。住民の生命と財産を守るのが首長の責務。生きているうちに原発ゼロを実現したい」と決意を述べている。
*現在の15人の呼びかけ人の一人に、わが小田原市長加藤憲一氏の名前もあります。小田原市議会決議(3月23日)に続き、「脱原発」市長意見を早急に表明して欲しい。
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(原子炉模式図の画像は大飯原発の公式サイトから。東京新聞ニュースの呼びかけ人一覧の画像は茨城新聞から)

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コメント

大飯原発の再稼働に関する松本様のご心配、お察し致します。新聞の記事も拝読致しました。しかし、どの新聞も、原発再稼働に際して、政府が提出した安全基準自体の工学的問題点を具体的に指摘しておりません。この点こそが、日本のマスコミの最大の問題=勉強不足なのです。

フクイチの事故の検証が進められている所ですが、主要な事故原因が既に報じられております。それは、1)津波の想定基準が低かったこと。2)全電源喪失時の対策がなされてなかったこと。3)冷却装置を誤って停止させたこと。4)IAEAが事故の数年前に勧告していた改修がなされていなかったこと。5)ベントの設計に不備があり、放射能が漏れたこと等。これらの問題を解決できるように安全基準の見直し、再設定が先日行われたわけです。

新聞やTVなどでは、「安全基準の見直し期間が短すぎる」という指摘がありますが、東海村に原子力の火が灯ってから、今日まで、原子力の研究が進められて来ており、海外との学術交流もさかんに行われてきました。その中で安全設計に関しても、多くの議論、考察がなされてきたのです。すなわち、知見の積み重ねがあったのです。それを踏まえると、安全基準の提出が早過ぎるということは全くないと思います。

むしろ、新たな安全基準に則った、原発職員の緊急時の対応トレーニングが不足している状態と言えます。その指摘の方が重要だと思います。「今後、緊急時の対応トレーニングをどのように進めていくのか?」その問題をマスメディアには、指摘して欲しいと思いました。

投稿: カケロマ | 2012年4月10日 (火) 01時47分

国際原子力機関 ( IAEA ) の元副事務局長でスイス人のブルーノ・ペイヨ氏は、福島第一原発が過去に指摘された欠陥をまったく改善していなかったことを、一部抜粋ですが、以下のように述べております。(http://www.swissinfo.ch/jpn/detail/content.html?cid=29904250)

原発対応にミスがあったことは明らかだ。第1日目にただちにほかの冷却方法を実施すべきだった。日本にはこうした重大決定を行う場合、すぐに行われないという欠点がある。だが、これ以上に批判すべきことは、きちんとした管理がなされていなかったことだ。検査が実施されず、チェックリストが作成されていなかった。政府に対しても偽りの報告をしていた。

しかし、わたしが最も怒りを覚えるのは、福島原発の原子炉に欠陥があることは随分前に指摘されていたのに、それが改善されなかったことだ。

スイスでは、福島第一原発と同型のミューレベルク ( Mühleberg ) 原発に対し、地下深くから地下水をくみ上げる、ないしは原発の近くにため池を設置するなど、二重の冷却設備を設置。また予備の電線を何本も用意し、第2の堅強な屋根が初期の段階から取り付けられている。また、水素爆発を防ぐための「水素・リ・コンバイナース ( Hydrogen re-combiners ) 」設置は常識だが、こうした安全対策が福島では一切されてなかった。

これらはわずかなお金でできることだ。スイスに限らず、ほかの国ではすでに行われている。

また、福島原発の製作元、米ゼネラル・エレクトリック ( GE ) は、スイスやヨーロッパで実施されている安全対策を日本に十分に知らせていなかった。

2008年に東電に対し、福島原発の津波対策が十分ではないと警告がなされた。しかし東電は何もしなかった。

投稿: カケロマ | 2012年4月10日 (火) 02時36分

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