« NO 全国電力関連産業労働組合総連合 | トップページ | 「巨大レベルの人権侵害」 »

2012年9月10日 (月)

住宅貧困を放置するのか URの解体

120909ur 独立行政法人都市再生機構(UR)という事業体があります。敗戦後のの住宅不足が大きな社会問題となっていた時代、いまだ戦後民主主義が残存していた時代、中間所得層への住宅供給を目的として1955年に設立されました。私の大学在学中でした。
 この事業体、住宅生産についてはさまざまな功罪がありますが、ともかく「賃貸公共住宅供給」として精力的に仕事をしました。「3LDK」などという日本独特の住戸規模呼称は、ここの発明です。しかし、分譲住宅をはじめてから、事業規模が肥大化し、ご承知のような変態を続けて(1981年-住宅・都市整備公団、1999年-都市基盤整備公団、2004年-都市再生機構)住宅供給からは撤退していきました。挙げ句の果てには、「多額の債務を抱え、金利リスクを内包し---」「13兆円を超える多額の有利子負債を抱え毎年度の支払利息が総収入の4分の一に当たる2100億円に及ぶとともに、繰越欠損金も約2,600億円残存するなど---」という現状となっています。
 先月8月28日、「独立行政法人都市再生機構の在り方に関する調査会 報告書」が公開されました。その提言は、この日本国の住宅供給義務を放棄するものです。「① ---健全な財務構造へ転換することを目的に---適切な仕組みを整備し---」「② 事業会社の設立に際しては、透明性を確保しつつ---専門家の知見を活用してその詳細を決定---」「③ UR の組織改革は---国土交通省が中心となり---関係部局の協力を得て進めていく---」のだそうです。
 抱えている賃貸住宅は2分割し、程度の良いものは政府出資の事業会社に移し、適切な時期に民営化する。低所得者、高齢者賃貸住宅は新たな行政法人に移し、従来通り(あるいはそれ以上に)削減を進める。賃貸事業の制度も変わるのでしょう。そして、住宅から足を洗った新UR は都市開発事業に専念できると言うこと、めでたしめでたしなのでしょうか。
 あきらかに、国家による公共住宅供給義務の放棄です。都道府県、市町村の公営住宅も減衰の一途です。住宅確保は個人の甲斐性とでも言うような、ひずんだ持ち家施策が、人びとの住生活水準を破壊しています。その悲惨さは災害時に露呈されます。住まいを失った被災者は、再度の「持ち家」の甲斐性を求められます。住宅ローンによる人生の破壊に至ります。
 住宅は人権です。憲法25条を持ち出すまでもなく、国民の住宅保証は国家公共の重要施策です。1955年に誕生した日本住宅公団は、戦後民主主義の中から生まれたささやかな国家事業でした。この公団さまざまな功罪がありますが、中間所得層の住宅供給では一定の実績を果たしてきました。しかし、賃貸事業から分譲事業に軸足を移し、その後は住宅・都市整備公団、都市基盤整備公団、独立行政法人都市再生機構と姿を変え、住宅事業の切り捨てが進行していきました。今回の報告書は、その住政策放棄の総仕上げとでも言うことを提言しているのです。
 住宅は、あらゆる暮し、社会福祉の基盤です。住生活保証は国家公共の基礎的責務です。このUR解体提言は許し難い責任放棄です。
 この調査会は、内閣府におかれています。調査会長は吉川廣和(非鉄金属製錬事業のDOWAホールディングス株式会社の相談役)、会長代理は森田朗(学習院大学法学部教授、日本行政学会理事長)、その他の構成員は、憲法、行政法・民法の大学教授、慶應大学ビジネス・スクール教授、監査法人代表社員、公共経営研究の早稲田大学政治経済学術院教授、共同通信社編集委員、慶應大学経済学部教授です(調査会構成員)。
 国土交通省が抱える不良行政法人をどう料理するかと言うことだけなんですね。日本国の住宅政策の本心が見えてきます。
(画像はUR本社、Wikipediaから)

|

« NO 全国電力関連産業労働組合総連合 | トップページ | 「巨大レベルの人権侵害」 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/139245/55620183

この記事へのトラックバック一覧です: 住宅貧困を放置するのか URの解体:

« NO 全国電力関連産業労働組合総連合 | トップページ | 「巨大レベルの人権侵害」 »